たとえば・・・・、
「 わたしは強迫神経症で催眠療法を受けたことがあります。
名古屋で当時●万円以上しました。
効いたかといえば、結論からいって効きませんでしたね。
催眠というのは、素直に受け入れられる性格の人が効き易いのでしょう」
といった、書き込みです・・・・。
このような、心や脳に関する知識に欠けた記載によって、催眠療法自体の価値が損なわれて、本当に必要な人の判断を狂わせることさえあると思います。
この例でいえば、強迫性障害に苦しんでいる方でしょうが、強迫性障害(OCD)は、どんなに深く催眠をかけて暗示を与えても、それだけでは改善できません。
それが可能ならば(そんなに簡単に治せるものなら)、世界中で催眠暗示のみの治療が実施され、多くの症例があることでしょう。
強迫性障害を治すためには催眠性の暗示だけでは無理なのです。
更に必要で重要な実施しなければならない処置があります。
ましてや2,3回の催眠実施では効果を出すことは無理です。
強迫性障害をこじらせてしまっていれば、残念ながら数回の暗示で治せるような単純な病気ではないのです。
勿論、そういった事情を正しく知らない、または治せないと分かっていらなが、または治した実績も無いのに受け入れている催眠療法を実施する側にも問題があります。
知識があれば、ちゃんと説明して治すための過程を相談者に納得させられたはずなのです。
必要な時間と手順を組んで催眠療法を実施すれば、大部分は治すことができます。
遺伝性が強く、さらにこじらせていれば、完全に治せないケースもあります。
こじらせるとは、長期間にわたり症状を進行させ、症状を作り出すストレス環境の中で過ごすことです。
こじらしてしまっている場合、症状をつくり出している真の原因を明確にして、日常生活に支障をきたす部分を少しでも緩和して、生活のストレスを減らしていく適切な対処が先ず必要となります。
遺伝傾向については、両親、祖父母などの親族に同じような傾向を持った人がいるかどうかで分かります。
どちらにしても、少しでも早めに、催眠暗示だけではない正しい催眠療法を実施して症状の進行を阻止することで、こじらせて手遅れにならないように努力する必要があります。
なぜ催眠療法が効果的なのかは、強迫性障害の症状は、大脳の奥深い扁桃体を中心とした情動系(大脳辺縁系)で発生している脳機能の混乱なのです。
無意識(情動系・大脳辺縁系)に働きかけることができる催眠療法がどれほど効果的かということを理解し納得して頂きたいと思います。
ただし、数回の催眠暗示だけの療法では治せないのです。
時間をかけながら、総合的な心理療法によって、感情と理性の不一致を改善し、情動系(感情の働き)をコントロールするための「理性の理解と感情の納得」という作業が必要になります。
パニック障害なども同じことで、必要な処理ができればちゃんと治すことができます。
いかにも簡単に治せるようなコマーシャルや何でも治せるような表現は、ついつい期待してしまい、引き寄せられるかもしれません。
気になるようだったら体験してみればわかることです。
そうして、“催眠療法”という表現は、どこも同じことをやっているのではないことに気付いてください。
心を癒すとは、完全に治癒させることであり、
一時的に「心が楽になった」だけで満足するようなものではないと思います。
正直な説明は、心を動かさないかもしれませんが、事実は事実なのです。
奇跡のような言葉や説明に騙されることなく、人間の心=脳という現実と正しく向き合ってください。
心の原理を深く理解して、本当に価値がある催眠療法に出会い、あなたの一度の人生を有意義に価値あるものとして、幸せな未来を築き生きていただきたいと心から願います。
井手 無動
IDE MUDO